安息の本棚

本を読了した後の自分の感想を残しておきたいと思い立ち、このブログを始めました。                           コメントに関する返答は仕様上できないようですが、ありがたく拝見させていただいております。Twitterもやってます。 @teruhiro_tose

4.『地方消滅』

f:id:raito-se:20171015174547j:plain

 

 知識の補完のために、調べながら読んでいたら時間がかかってしまいました。

 

「このままでは896の自治体が消滅しかねないー。減少を続ける若年女性人口の予測から導き出された衝のデータである。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。豊富なデータをもとに日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望通りに子どもを持てる社会へ変わるための戦略を考える。」

 

 

①ざっくり解説

 ”東京一極集中が招く人口急減”をサブテーマに、少子高齢化対策、それに対する国家・地域戦略について主に書かれています。本の帯紙には「地域創生のための必読書、23万部突破!」と書かれていました。

 現在日本の合計特殊出生率は2017年6月の時点で1.44であり、出生数は統計を取り始めてから初めて100万人を割りました。このまま何も手を打たなければ、日本人口は2050年には1億人を割り、若者の人口、特に若年女性人口が地方で減少し、人口の「再生産力」は低下し続けてしまいます。それを食い止めるために、今生きる私たちにできることはなにか、なにを為すべきかについて、統計などを見ながら展開されています。

 

 

②気になった点

1.タイトルにもある”消滅”というワードについて

 まず、タイトルの「地方消滅」という言葉にインパクトがありますね。衰退ではなく消滅と書かれていると、事の重大さが分かります。『仮に今後も人口移動が収束しなかった場合、2010年~2040年までの間に「20~39歳の女性人口」が5割以下に減少する市区町村数(本書ではこれを消滅可能性都市と呼ぶ)は、896もある』そうです。5割、つまり半分以下になるわけですから、かなり危機的なわけです。この消滅可能性を下げるための取り組みを早急に実践していかなければなりません。

 

2.若者の都会流入

 地方の若者は都会に憧れるってよく聞きますけど、当然単なる憧れだけで都会に行くわけではありません(一定数いるかもしれませんが)。大学への就学であったり、地方に求める職が無かったり、都会の利便性に惹かれてであったり…様々ありますが、都会への若者の流入は現在も止まりません。しかし、都会に若者が流れてしまうことにどんなデメリットがあるのか、恥ずかしながら深く考えたことはありませんでした。実際のデメリットとしては

・都会は子育てに向いている環境が少ない→出生数の減少

・仕事志向が強く、晩婚になってしまう女性が多い→出生数の減少

・若者の中でも特に若い女性は都会に行き、男性は地方に残る傾向がある→結婚の機会に恵まれない若者が一定以上出てきてしまう

 読んだ内容をパッと思いついただけでこれらの問題があります。この問題を解決するために地方がどう対策していくかがカギとなります。現在進行形で進む少子化の影響は対策してもすぐ止むわけではなく、何十年という長い目で見なければなりません。

 

 

3.目標とすべき理想のモデルとなる都市もちゃんと存在している

 少子高齢化、若年女性人口の減少が著しい現在でも、対策し、効果が出ている地域も確かに存在します。本書では、若年女性人口増加率ベスト20を挙げ、それに該当する主に6つのモデル(産業誘致型、ベッドタウン型、学園都市型、コンパクトシティ型、公共財主導型、産業開発型)を紹介しています。これらの地域の真似をするのではなく、どう地元で活かせるか、そこが重要です。

余談ですが、自分の地元は産業開発型ですね。

 

 

他に気になったことを箇条書きにすると、

・地方の雇用減少を辛うじて食い止めているのは医療・介護分野→しかし、高齢者も減少する未来にこのニーズは減るばかり

出生率だけが大事なのではなく、生まれてくる子供の数こそが大事

・都会の出生数は地方に比べてどこも低い(特に東京が顕著で、出生率は全国ワースト1位)

・地方中核都市を地方から都会に流れる人々の「反転・境界線」にし、ここを最後の砦にして人口の地方からの流出を止め、再生を図る

 

 

③意見

 ”少子高齢化”。何度も見て聞いた言葉ではありますが、その問題を知るには十分な良書だと感じました。実際少子化だけでなく、高齢者の絶対数自体も減っている地域もあり、まだ大丈夫だと、これからの方針によってはまだ分からないと、そう言って未来に託す時間は残されていません。今から取り組まなければならない現状が、”統計上の”数字””という確固たるものによって鮮明に浮き上がっています。

 子育てには向かない都会に若者が集中し、出生数が減る。この問題に地方が、都会がどう向き合っていくのか、私たち現役世代は考えなければなりません。

 

 

以上です、ありがとうございました。

まだ文章を書くのに慣れず、時間がかかる上に上手くまとめられない。