安息の本棚

本を読了した後の自分の感想を残しておきたいと思い立ち、このブログを始めました。                           コメントに関する返答は仕様上できないようですが、ありがたく拝見させていただいております。Twitterもやってます。 @teruhiro_tose

11.『空飛ぶ広報室』

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 「不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もあつ先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。

 

11冊目は有川浩さん著「空飛ぶ広報室」です。

 

 

 

①全体の感想(※ネタバレ無し)

 

  有川浩さんの自衛隊関連の著作は好きでだいたい読んでますが、今回は「航空自衛隊」です。主人公の空井が異動した先は航空幕僚監部広報室で、そこには癖の強い先輩たちが待っていました。癖が強い登場人物が多いと誰かはあまり好きになれなかったりするんですが、この広報室の面々は全員好きになれました。

 

 この広報室で、広報経験ゼロの空井はどう成長していくのか。また、パイロットの夢を断たれた後、どう立ち直っていくのか。楽しみにしながら読み進めていきました。

 

 

 

②気になった点(※ネタバレ有り)

 

 ・広報室勤務の下士官と室長

 空井は今までに広報官としての業務に携わることなく自衛隊パイロットとして生きてきたわけですから、広報は初心者です。

 空井のサポートに回るのは広報歴10年以上の比嘉一曹。彼は幹部認定試験をあえて受けず、下士官として広報官を続けています。その理由が、異動する人が安心して自分の業務を託せる広報官がいた方がいい、そして新しく入ってくる幹部生に仕事を教えることができる熟練の下士官がいた方がいいだろうという判断あってのことです(本人の口から出た内容ではありませんが、有能な上司がそう考えています)。自分の昇進を顧みず、自衛隊のために尽くす姿はとてもカッコよく見えました。

 

 広報室の室長を務めるのは、鷺坂一佐。彼は広報歴こそ比嘉に比べ短いですが、今まで自衛官として培った知識や、元々の人の上に立ち部下を成長を施す腕は確かで、広報室員は何かしらのプラスの影響を常に受け、鷺坂を尊敬しています。普段はミーハーで、口も上司という感じはあまりないような親し気な感じなのですが、大事な場面では室員をしっかりと助けてくれます。

 

自衛隊員空井と、記者あがりのディレクター稲葉

  空井の異動後間もなく、広報室に、自衛隊の特集をするため取材を長期間で行っていくためにテレビ会社のディレクターが訪れるのですが、その人物がもと警視庁付きの記者、稲葉リカです。彼女は記者時代、とにかく数字を取るために、取材対象に対して配慮をしないような、怒らせてしますような質問を浴びせ、その受け答えをまとめ記事にしていました。それが、記者として正しい姿だと信じて。しかし、時が経つにつれ、そのやり方では上手くいかなくなり、記者を下ろされてしまいます。

 その後、広報室に訪れ、空井と自衛隊の特集をするための話し合いをするのですが、例によってあえて挑発するような言い方をしてしまい、空井を怒らせてしまいます。記者時代であれば相手を怒らせてもそれは会社のためと割り切ることができる。しかし、空井の怒りは、自分の仕事を侮辱された悔しさに満ち、稲葉自身はとても申し訳ない気持ちでどうしようもなくなります。

 この空井との出会いがきっかけで、稲葉は人として、正しい、仕事に対する姿勢を獲得していくのです。

 読み進めるうちにどんどん空井と親しくなり、可愛いところが溢れてくる稲葉はとても魅力があるように感じました。

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以上です、ありがとうございました。

 

  追記

 以前の雑談で「記事の文字数は1200字以内にします」と発言しましたが、あくまで自分のために始めたブログで文字数を制限するのは目的として少しずれてるだろと思ったので、文字数は制限しないことにします。

失礼!