安息の本棚

本を読了した後の自分の感想を残しておきたいと思い立ち、このブログを始めました。                           コメントに関する返答は仕様上できないようですが、ありがたく拝見させていただいております。Twitterもやってます。 @teruhiro_tose

20.『ラッシュライフ』

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 「泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場───。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。」

 

 20冊目は伊坂幸太郎さん著「ラッシュライフ」です。

 

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①全体の感想(※ネタバレ無し)

  5人の視点から始まる物語がラストに向けて繋がっていく構成が、読んでいて非常に気分が良かったです。終盤になってくると、次はどう繋がっていくのか気になって気になって一気に読んでしました。

 僕は普段本が読み終わるのがもったいなく感じて、「ラストは明日読もう」と取って置くんですが、いや抗えませんでした。

 

 

②気になった点(※ネタバレ有り)

 

・職を失った男

 この男性は豊田というのですが、彼は、豊田は会社からリストラされ、家族に見捨てられ、就活をするも40社連続不採用という、絶望の状況です。しかも、娘の養育費を払わなければなりません。辛すぎる。

 

 そして路頭に迷っているところに、鋏を持ちながら「バラバラにしてやるんだ」と呟く女が野良犬の脇に立っているのを見ました。その野良犬に親近感を覚えた豊田は犬をその女から遠ざけようと、女に向かって「私の犬だ」と、いかにも嘘っぽいことを言うのですが、本当に飼い犬かと思うくらい野良犬は豊田に懐くんですね。そして犬と共にその場から立ち去った豊田は、女のヒステリックな叫び声を聞きます。

 

 豊田が野良犬に親近感を覚えたように、野良犬も豊田に親近感に似た何かをもっていたのかもしれませんね。因みに、ラストでこの野良犬は首輪に高額当選している宝くじを持って豊田のところに帰ってくるのですが、登場人物の中で一番辛い立場にあった豊田が、最終的に一番救われてくれたのは嬉しかったです。途中豊田は色々あって拳銃を手にし、郵便強盗未遂(?)らしきことをしてしまうのですが、僕個人としては、警察にも見つからず、宝くじを手にした後の人生は幸せであってほしいですね!

 

 

・女性カウンセラー

 この女性は京子というのですが、彼女はサッカー選手である青山と不倫をしており、お互いの夫、妻を殺して夫婦になろうと青山と共に画策していました。京子の夫は事を起こす前に突然別れようと京子に電話で話しており、不審がりながらも手間が省けたと喜びます(実際は捨てられたように感じて少し怒っていますが(笑))。

 

 そして、次は青山の妻をやる番です。青山はずっと渋っていたのですが、結局青山の自宅に車で向かうことになりました。しかし、途中で二人を乗せた車は、あり得ないことに人をはねてしまうのです。焦った二人はとりあえず車のトランクに押し込んで走り出すのですが、走行中、はねた遺体が勝手に飛び出したのです。それも一度だけではなく、何度も。京子はヒステリック気味になりながらも遺体をトランクに積みなおし、遂に青山宅に着きます。

 

 着いた後も少し厄介事が起こり、京子はその場を一旦離れます。そして暫くして戻っていると、青山とその妻が話してるのを陰から聞きました。その二人が、実は京子を逆に殺そうとしていたことを。そしてその青山の妻はトランクに隠れていて、遺体を度々落としていたのもその人だったわけです(落としていた理由はその遺体が気持ち悪いからですが、まぁそうですよね)。

 京子はまさか自分が青山に裏切られていたとは知らず、茫然自失で元来た道を丸半日かけて引き返すのでした。

 

 読み始めた時からこの京子という女性は性格が悪いなぁとは思っていたのですが、愛する青山に裏切られてプライドも傷つけられたのには、少しばかり可哀そうという感情の反面、これでいくらかは懲りただろうと思いました。

 

 因みに、先ほど上述した、野良犬に向かって「バラバラにしてやるんだ」と呟いていた女性は、この京子です(笑)。精神的に追い詰められていたんでしょう。

 

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以上です、ありがとうございました。

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 私事ですが、最近読書する時間もこの読書記録をつける時間もあまり取れず、更新が遅くなっています。

 

 時間があるときに内容を思い出しながら少しずつ書き溜めているのですが、次の更新もまた遅くなるかもしれません。2月?

 

 まぁあくまで自己満足なんでね!読んでくれている方に感謝しつつ、勝手に書きます。それでは。