安息の本棚

本を読了した後の自分の感想を残しておきたいと思い立ち、このブログを始めました。                           コメントに関する返答は仕様上できないようですが、ありがたく拝見させていただいております。Twitterもやってます。 @teruhiro_tose

1.『旅のラゴス』

f:id:raito-se:20171005182638j:plain

基本ネタバレ有りなので、お気をつけ下さい。

 

 「北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。」

 

 

 一冊目は「旅のラゴス筒井康隆さん著です。

 以前から多くのサイトでおすすめ本として頻繁に見かけていて気になったので読んでみました。装丁のデザインも気に入っています。

 

 物語は青年期から始まり(25歳頃?)、最後は68歳頃で旅の幕引きになります。旅の道中出会う老若男女、ラゴスを尊敬する者、愛する者、奴隷として扱う者達との濃い物語が多く詰まった一冊でした。登場人物は結構多いのですが、それぞれに個性があり、読み返して「この人どんな人だったかな」と思い返すことは少なかったように思えます。(まぁ2、3度あったんですが)

 

 最初の一編は、放浪する牧畜民族のムルダムの一族に加わり、集団転移を試みようとする彼らを手助けする場面から始まります。集団転移の超能力自体は、割とこの世界では扱える者が多いらしいのですが、実際使えたらなんて便利なものか…。そして、この手助けからラゴスに対する周りの意識は変わり始め、その一族を後にする頃には、そこにいなくては困る存在となっています。この一族で出会うデーデという少女は、旅の最後まで深く関わってくる、ラゴスの大切な人になります。

 最初のこの一編のように、困った人々をラゴスが持つ超能力者としての才覚と知恵を振るうとともに、ラゴスの人柄に惹かれ旅の道中出会う人々の多くがラゴスに対して情愛を示し、親密になっていく様は読んでいて気分が良かったです。

 親密といえば、訪れる場所のほとんどで一人以上の女性に愛されるラゴスは、多くの女性に愛される超能力を持っていたのかもしれません…結婚までせがまれるんですから。それでもラゴスは旅を理由にそのほとんどを断ります。旅中毒か。

 

 そして幕引きは、老年となったラゴスが最初に出会った女性デーデに再び会うため、はるか北の雪が吹きすさぶ土地を目指し、最後の戻ることのない旅に向かう描写で終わりとなります。

 

 結局生涯をかけて旅を続ける目的がなんだったのか。

 自分は、ラゴスが多くの知識を得るため、そして多くの人々との出会いを求めることが、この旅の目的だったと思います(ありきたりな感じはしますが)。しかし最終的には、デーデを何度も夢に見て、再び会いに行くことが旅の終わりとなることからも、旅と同じくらい彼女を愛していたのかもしれません。

 

 

 

 自分は旅行とかあまりしないのですが、ラゴスのように各地を周ることで知見を深めるのも楽しいかなと思えました。多くの人との出会いも大切にしていきたいですね。

 これで初めての読書記録、締めとなります。自分で読み返してみてへったくそな文章だと思いますが、これから改善していきたいなと思います。

結局のところ自分のために書いているので、文章の上手い下手なあんまり気にしませんけど。

以上です、もし読んでくれた方がいれば、感謝します。