12.『妻を帽子と間違えた男』
「妻の頭を帽子とまちがえてかぶろうとする音楽家、からだの感覚を失って姿勢が保てなくなってしまった若い母親、オルゴールのように懐かしい音楽が聞こえ続ける老婦人───脳神経科医のサックス博士が出会った奇妙でふしぎな症状を抱える患者たちは、その障害にもかかわらず、人間として精いっぱいに生きていく。そんな患者たちの豊かな世界を愛情をこめて描きあげた、24篇の驚きと感動の医学エッセイの傑作、待望の文庫化。」
12冊目はオリヴァー・サックスさん著「妻を帽子と間違えた男」です。
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全体の感想(※ネタバレなし)
今回は全体の感想のみとさせていただきます。
オリヴァー・サックスさんは、以前読書感想で書いた「知の逆転」でインタビューに応じており、知の賢人の一人として紹介されていました。そして、サックス博士が「妻を帽子と間違えた男」というエッセイを執筆されていたということで、一度読んでみようと思い購入しました。因みにエッセイはほとんど読んだことがなく、読んだと言っても学校の教科書に載っているようなものだけです。
この本にはサックス博士が、医学博士として、愛情をもって患者の方々と接し、治療にあたってきた24の物語が書かれています。医者だからこそ出会える、脳に何らかの異常が見られる人々との、普通の人ではできない会話や体験がエッセイという形で伝わってきました。
実年齢が50近いにもかかわらず、記憶が20歳までで止まってる人。
「左」という概念が抜け落ちてしまった人。
アイデンティティが崩壊している人。
「知的障害の天才」と呼ばれる、ある一点に置いてずば抜けた才能を持っている人。
他にも様々な脳の障害によって特異な体を持った人々を、小説では味わえないリアルの話として味わうことができました。文章には医学用語が所々あり、若干理解しにくい箇所もありましたが、楽しく時間をかけて読むことができました。
小さい頃は、脳の障害というと、今まで通りの日々を過ごしていればほとんど関わることがないだろうという、完全に他人事のような、異物のような、自分とは全く関係ないという感覚がどこかにありました。だから、街中で障害がある方々を見ても、「かわいそう」という下手すれば侮蔑に当たるような、今考えると本当に恥ずかしいとしか思えない考えを持っていました。
今後生きていくうえで、もっと理解を持った接し方ができれば、自分は許されるでしょうか。
なーに書いてんでしょうか僕は。
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以上です、ありがとうございました。
勢いで書いたので、最後の文章は消すかもしれません。
ただ、僕はどんな人であろうと、その人を理解しようと努力することは怠りません。これは絶対です。