18.『夜のピクニック』
「高校生活最後を飾るイベント「歩行祭り」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために───。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。」
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①全体の感想(※ネタバレ無し)
北高の伝統行事「歩行祭り」は、朝の8時から翌日の朝8時、つまり丸一日かけて80キロの道のりを全校生徒でただひたすら歩くものなんですが
辛すぎるでしょ
しかし歩き終わった後、「楽しかった」と感想を漏らす生徒がいるのです。
それは、太陽が昇っているときでしか話さない人たちと夜を徹し語り尽くすことができたり、80キロを仲間と共に歩き通す連帯感からくるのではないでしょうか。
学校祭や合唱コンクール、遠足、修学旅行なんてものは大勢の友達とやるからこそ、面倒くさかったり辛かったりしても、最終的には「楽しかった」と言えますし。加えて「高校生活最後の」っていうとさらに特別感が増しますね。
そんな歩行祭中に甲田貴子と西脇融を中心に起きる、(一風変わった)青春の物語でした。
②気になった点(※ネタバレ有り)
・貴子と融の関係の解消
この二人は異母兄弟で、貴子の母と融の父が浮気したことでこのような関係になりました。
同じ高校でありながらお互い避けつつ(主に融が貴子に対して嫌悪感を持っており)高校生活をを過ごしてきたわけですが、3年生のときに偶然同じクラスになり、それでも卒業するまで一度も会話せずにいようと決めていました。
しかし貴子は、「歩行祭で融に話しかけて何かしらの返事をもらう」という小さな賭けを自らに課し、「その賭けに勝ったら、今の関係を解消するために融に働きかける」ことにしていました。
そして貴子はその賭けに勝ち、歩行祭中に二人で話す機会を作り、いつかお互いの家に行く約束をすることに成功します。
初めて話したのに、今までも話したことのあるような不思議な感じです。なんといっても二人は同じ血が通った兄弟です。言葉では表せない何かがそうさせるのでしょう。
僕にも兄弟がいて今はそんなに会う機会は無いのですが、久しぶりにあっても最近あったかのような感じで、自然体でいることができます。不思議です。貴子と融のようなややこしい関係では無いですけどね(笑)。
・貴子と融の友達
貴子の親友である杏奈と融の親友である忍は、お互いに気が利く性質で、読書中も「なんていいやつらだ」と思っていました。二人のことについて書き出すと長くなるので割愛します、すみません。
ただ杏奈に関しては「いやそこまで気が利きすぎると未来予知でもしてるのか」とツッコんでしまいましたけど。一年後の歩行祭を見据えて貴子と融の関係の解消のために仕組んでいるのはちょっと…。まぁあくまで貴子の予想なんで、確実にそのためにしたかは謎ですが。
とにかくこんな友達想いの人たちが自分の友達なら、学校生活も充実するんじゃないかと思います。
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以上です、ありがとうございました。
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今年の心残りは読書時間をうまく作れなかったことです。
2018年はより多くの本を読みたいです。